汐留・電通新社屋見学会

▼概要
ARCHIBAUの見学会企画も昨年の横浜MM21に続いて第2回目となりました。毎回(といっても2回目ですが)OBOGの方が大きく関与するプロジェクトを対象に見学先を物色し、今回は東京のビッグプロジェクトの一つである「汐留・電通新社屋」の現場を見学させていただくことになりました。

汐留は、現在様々な施設が建設ラッシュ状態にあり、そのなかでも滑らかなブーメラン状の曲線プランによる、独特な外観の電通新社屋は、設計当初から話題にのぼっていた物件でしたが、この手の建物を施工途中の段階で見学できる、というのはOBOGが幅広く各業界で活躍する千葉大ならではのこと。実はつい先日までこの現場JVの統括所長の任についていたのは、昭和37年卒の上原徳男氏(現 大林組東京本社 工務監督)なのです。この電通新社屋は、見学先としては以前から候補に上がっていました。このたび前出の上原氏と、同じく昭和38年卒の金澤健三氏(現 大林組東京本社 建築事業本部 営業部長)のお二方のお骨折りにより、見学会開催の運びとなりました。

▼見学会
当日は、本会の松本会長をはじめとする会員20名のほか、デザイン工学科と都市環境システム学科の学生35名、その引率として都市環境システム学科の宇野求 助教授と、総勢56名が見学会に参加、見学用のイヤホン50名分を上回り現場も苦笑する一幕も。今回はできるだけ多くの学生に体験してもらおうと学生枠を多く確保したのですが、会員の参加希望が予想外に多く、このプロジェクトの注目度がわかります。

さて、まずは現場事務所5階の会議室に集まり、金澤氏のガイダンス、松本会長の挨拶と続き、現場JV副所長の鶴田信夫氏から全体の概要を説明していただきました。汐留の歴史背景からはじまり、開発の経緯や各プロジェクトの規模・計画概要などについてスケールの大きい話題が展開されました。この現場の建物端部にいくにしたがってパターンが微妙にグラデーション変化していくセラミックプリントガラスの施工技術、またシャトルとローカルを使い分けるエレベータ計画などの特徴について伺うことができました。

一通りの解説の後、ヘルメット着用で現場へ。現場では鶴田副所長に案内をしていただきました。資材運搬用のリフトで上層階へ移動。階ごとに完成段階が違うので逆回しの映像を見ているようです。標準階では、まだ構造体の状態で内部を見ることができました。独特な外装に比べて内部ではむしろオフィスビルの典型を見るような感じであったのは興味深いことでした。見学後、再び会議室に戻り、案内をしていただいた鶴田氏に質疑応答。現場サイドの本音の一端がうかがえました。

滅多にない経験からか学生にはやや硬さがありましたが、建設現場を見た、ということ以上に何か見つけ出す事ができれば見学会の意味もあったかと思われます。次の機会が有るならば、今度は折角一緒に見ている会員組(OBOG)と学生とが、見学作品や技術についてもっと話し合うことができれば、本会が見学会を開催する意味も、より深まることでしょう。ARCHIBAUの存在意義も含めて、より深める課題があるようです。